企業(メーカー)への就職を考えている理系博士課程の学生が在学中にやっておいた方が良いこと

2019年9月8日

こんにちは。とってぃです。

大学の研究室で毎日夜中まで研究や実験をしている学生さんからすると、企業で働いている人は夕方には仕事が終わり、自由な時間が多くて羨ましいと思うかもしれません。

私も、大学院生のときは、研究室に夜中の10時や11時までいて、社会人は早く帰れていいなあと思っていました。

しかし、実際に働いてみると、残業があれば遅くなることもありますし、就業時間中は、研究室にいた頃のような時間の余裕は無く、ゆっくり論文を読んだり、夜中まで実験をしたりすることはできません。

そのため、大学の研究室にいた頃に、もっとやっておけば良かったと思うことがいくつかあります。

そこで、今回は、企業(メーカー)への就職を考えている理系(理学系・工学系)の学生、特に博士課程の学生が在学中にやっておいた方が良いことについてご紹介したいと思います。

分析装置の原理・使い方・データの見方を知っておく

私が一番やっておいた方が良かったと感じていることは、様々な分析装置について詳しくなっておくことです。

自分の研究室にある分析装置はもちろんですが、世間一般に使われている分析装置(例えば、各種クロマトグラフィー、NMR、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、XPS、X線回折など)について知っておくべきだと感じています。

というのは、会社での研究が大学での研究と同じ分野になるという可能性は低く、分野が違うと使用する分析装置も異なってくるからです。

 

会社では、分析装置の使い方を教えてくれるかもしれませんが、その原理まで丁寧に教えてくれることはありません。

また、様々な分析装置の内、現在の自分の研究ではどれを使えばいいのかということは、上司もわかっていないことがあります。

そのため、自分自身が調べたい現象について、何を使って調べれば良いかすぐにわかるようにしておくと研究をスムーズに進めることができます。

特に、社内に無い分析装置を使って計測をしたいというような場合は、外注で計測する意義を上司にわかりやすく説明する必要があるので、装置の原理や特徴をきちんと知っておく必要があります。

 

私自身、大学での研究とは異なる分野の研究をしているため、現象解析をする際に、どんな装置を使って何を調べれば最適であるかということをぱっと思いつくことができずに日々苦労しています。

そのため、大学で自分が研究している分野以外でも、少なくとも一般的な分析装置については詳しくなっておくことが大切です。

 

プログラミングによるデータ処理の知識やスキルを身に付けておく

2つ目に私がやっておけば良かったと感じていることは、プログラミングによるデータ処理です。

大学の研究室では、どちらかというと数は少ないけれども精度の良いデータを取得するということが多いと思います。

しかし、企業では多少精度が悪くても大量のデータを取得して、解析をするという傾向があります。

そのため、統計的な知識や大量のデータを処理できるスキルが必要になります。

大学にいるときは、このようなデータ処理のスキルを身に付ける時間も十分あると思いますので、少しずつ自分で学習しておくと、後々役立ちます。

学習する内容は、まずはエクセルのマクロやRでのデータ処理などがオススメです。

余裕があれば、Pythonでの機械学習もできるようになっておくと良いと思います。

 

最近は、AIや機械学習などプログラミングの重要性が増してきているので、プログラミングができる人が増えてきていると思います。

しかし、実際のところ、会社でプログラミングができる人は少なく、エクセルのマクロを使えるだけでスゴイと思われるような状態です。

また、最近では、働き方改革といって、残業時間を削減するために業務を効率化させていく必要が出てきています。

そのような環境で時間をかけてデータ解析する時間はありませんので、プログラミングによって効率よく作業できるスキルを身に付けておくと有利です。

 

私自身は、昔からプログラミングが苦手で、どちらかというと避けるようにしていました。

しかし、最近では、その必要性を感じ、自分で勉強して、エクセルのマクロを使いながらデータ処理をすることができるまでになりました。

これからは、プログラミングが避けて通れない時代になってきますので、時間に余裕のあるときに学習しておくことを強くオススメします。

 

語学の勉強をしておく

私が学生さんにやっておいて欲しいと思う3つ目は、語学、特に英語の学習です。

博士課程に進学している方は、すでに英語が得意という方も多いと思いますが、そうでない方は、是非もう一度勉強することを考えてみてください。

英語は、社会人になって必要になったら勉強すればいいと思うかもしれませんが、実際のところ社会人になってから英語の勉強をするのは意外と大変です。

日々の業務に追われながら勉強する時間を確保することは難しいですし、英語が必要な場面は急に訪れるので準備している暇がありません。

社会人になって振り返ったときに、英語をもっと勉強しておけば良かったと思うことは間違いないと思います。

手遅れにならないように、少しずつでもいいので英語の学習を習慣にして身に付けていってください。

 

もし、自分の研究室に外国人の研究者や留学生がいるのであれば、積極的に話しかけて、コミュニケーションを取るようにしてください。

外資系企業でない場合は、外国人がいるという環境はとても貴重ですので、その機会を活かさない手はありません。

英語のリーディングやリスニングは自分で勉強すれば上達しますが、話すことに関しては相手がいないと練習できないので、外国人の研究者や留学生に協力してもらい、自分の英語力を向上させていきましょう。

 

 

世の中の流れや経済の仕組みについて学んでおく

優先順位としては、それほど高くありませんが、企業で働きたいと考えているのであれば、世の中の流れや経済についても知っておくと良いです。

 

企業の研究は、大学での学術的な研究とは異なり、研究成果を製品に結びつけていかなければいけません。

そのため、世の中でどのようなものが求められているのか、将来どんな技術が必要になってくるのかといったことを知っておくと、学術的な視点からだけでなく市場からの視点を持ち、研究に取り組むことができます。

 

経済の仕組みについても学生のうちに学んでおくと良いです。

将来、自分の研究が役立つのか、何を研究すれば意味があるのかということを考えることができるようになるからです。

自分の就職先を考える上でも役立つと思います。

 

まとめ

今回は、理系の学生、特に博士課程の学生が在学中にやっておいたほうが良いことをまとめてみました。

今回ご紹介した内容は、博士課程を卒業して企業に就職した私自身が強く感じていることですので、後々役立つことは間違いないはずです。

日々、研究で忙しいとは思いますが、社会人に比べるとまだ自由な時間は多いので、是非その時間を活用して、必要な知識やスキルを身に付けていってください。